「ねぇ…愛って何だと思う?」
そう唐突に聞かれたのはもう夜の12時を超えた頃に来たメールだった。
「さぁ?価値観は人それぞれだし」
とりあえず唐突に来たメールに適切な返事など用意しているわけもなく、曖昧な返事を返した。
「うん…そう」
はて?これはもしかして俺を頼りにして恋の相談でもし様とかそういうノリなのかな?それなら喜ばしいことだ。頼りにされるのは。
「何かあったの?」
あくまでまだ自分は何も感づいてませよー的なオーラをかもし出しながら返信。
「あのね…彼氏が出来たの」
この時点で俺はもう戦意を喪失していた。夜遅くに恋の相談だと思って聞いたのに、のろけ話を聞かされたらたまったもんじゃない。かといって自分から「何かあったの?」と親身になって相談に乗りますよー的雰囲気を加味し出しておきながら無視するのは後々痛い目に合う気がしたので気がひけた。
「で、どうしたの?」
とりあえず流して聞いて、ちゃッちゃと終わらせよう。
「でもね、彼が身体目的だったの」
はぁ〜〜……のろけ話ですか…って、え、何そのいきなりのリアルな話。のろけ話するんじゃねーの。
「それで?」
俺はあまり首を突っ込むのは厄介、と思ったが聞いてみた。
「この前ね、迫られたの」
あ〜〜いいねぇ、俺も迫りたいよ。
「で、グーで殴っちゃった」
元気でいいこった。でも女性がグーって…お転婆過ぎない?
「でさ、まだ何度も迫ってくるの。ねぇ、どうすればいいと思う?」
さて、ここでのろけ話ではなく相談に戻ってきた。相談されるのは当初の思い通り頼りにされてて嬉しいのだが、少々話が重すぎやしないか?そういう質問は彼女なしの俺ではな恋愛経験達者な人に聞いてくれ。
「やっちゃえば?」
俺はテキトーな返事をした。こんな質問に対して真面目に且つ的確な答えを出せるほど俺の力量はでかくない。
それ以降返事は来なかった。
真面目に相談しているのにテキトーな答えしか返さない俺に愛想をつかしたのだろう。まぁ賢明な判断だ。
彼女の最初の「愛って何だと思う?」という質問はおそらく『身体目的で迫ってきた男に愛はあるのか』ということだろう。
そんなこと俺にはわからない。未だまともな恋愛などしたことのない俺にはな。でも、自分が好きならいいんじゃねーのか?愛がなきゃ成立しねぇのか?わからない。
だから彼女も愛想をつかして俺とメールするのを諦めたのだろう。
愛想…そうか
『愛』を『想う』か。
俺はつまり愛を想う心がなかった、つまり『無愛想』だったのだろう。
わかった。
愛想は『相手の心を自分のど真ん中で受ける』ことなんだ。
愛は『心をど真中で受ける』ことなんだ。
つまり、身体ばかり求めた彼氏にあいつは『心を受け止められていない』と感じたんだろう。
いまならわかるぜ、ろくに恋愛したことない俺でもな。
『なぁ!!愛ってさぁ!!!』
やっぱり人それぞれだと想う。
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